シグルイ考察

 其壱 ・ 其弐 ・ 剣法について 


剣法について


←前頁へ TOPに戻る   



流れ星、無明逆流れの剣法について



どちらも、斬りつける速さに重点を置く剣法と言える。 小説も漫画もその斬り方は大体において同じであるが、小説より引用しながらここに 紹介する。他、小説中牛股、藤木の自得した「飛燕切返し」、「飛猿横流れ」 についても紹介しよう。


*虎眼流「流れ星」(岩本虎眼)


―対手の首を狙って、流星の走る如く横になぎ払う一刀必殺の魔剣―であるが、 漫画とは違い、刀身を手で支えていない。漫画の流れ星だと、 一発勝負という感じで、試合が長引いた時に臨機応変さに欠けると思う。 流れ星以外にもちゃんと戦えるのだろうが・・・通常の戦闘(1対1ではなくて、 戦国時代などの戦場)に“流れ星”は不向きである。いつでもどんな状態でも間髪を 容れず横薙ぎの一閃。それが、小説の流れ星である。


*無明逆流れ(伊良子清玄)


―盲目となった愛しい男の生命力を燃えつづけさせる剣の道―

―薄灰色の世界を相手に清玄は必勝必殺の剣を練った―


横一文字に切り裂く「流れ星」に対抗するために編み出した「無明逆流れ」は、 大地につき立てた刃の土を蹴る力にのって、垂直に切り上げることで、横ざまに切る 「流れ星」よりも、より多くの殺傷の可能性をもった。ただ、問題は清玄が盲目と いうことである。眼が見えずにどうして、刀の流れが対手のからだを捕らえることが 出来るだろうか。
いくは、人生を諦めかけていた清玄の魂を奮い起こし、「流れ星」を破る執念を 沸き立たせた。清玄は、いくに命じてあらゆる物を自分に向かって投げさせて、 それを「逆流れ」で切り裂く練習を続け、終に「逆流れ」の剣の走る軌道に入った 全てのものを真二つに割ることが出来るようになった。そして、両目を切り裂き生き 恥を味わわせられた虎眼と、その弟子牛股、藤木他、罪なき蚊から訳なき狂馬 に至るまで、下から上へ斬ってきた。そして、(炙出→) 最後はアノ二人をも道連れにして、白砂に倒れ伏すのである。


*飛燕切返し(牛股権左衛門)


―打ち合うこと数合、隙をみて、巨大なからだで俊敏に対手の手元に飛び込み、 全身で対手を押しまくる。押しに必死に堪える敵の反抗を弾力に利用して、 ぱっと飛びすさる瞬間、豪剣が対手の右手をしたたかに打ちのめす。―

この切返しの神業を防ぎ得るものは、師虎眼のみ!!と豪語するも、バッサリ!!

寸感:「流れ星」と比べると、名前からしても詰めの甘さが窺える。流れ星とツバメ ですぞ?規模が違う。しかも、怪物並みの巨体がツバメなど、ある意味笑止。 ニートにも劣るわ(嘘)


*飛猿横流れ(藤木源之助)


数年来ひそかに自得した源之助の秘術。師の「流れ星」に新しい手を加え、 全身を対手の左肩にぶつける如く飛び込みざまに横薙ぎに払う。
まさにジャンピング モンキー!!
剣気動いたとみえた時には、すでに全身が斜右に飛んでいるから、 清玄の逆突き上げは空を打つのみ!!
しかし、彼は「逆流れ」の恐るべき速度を十分に計算に入れていなかったために・・・ OH MY ARM IS FLYING!!!

寸感:「飛燕」、「飛猿」どちらも“ヒエン”と読むが、ツバメとサル であるし、“飛”の意味もことなる。一方は継続的に飛び、もう一方は跳ねる (跳躍)である。二人の動き方はその表現で大体つかめると思うが。にしても、 流れ星→飛燕→飛猿・・・・・・。やっぱり、虎眼は素晴らしかったということか。



他の章の剣術は、また後ほど


←前頁へ TOPに戻る   

topへ戻る