シグルイと原作比較 其弐
シグルイと原作の相違点
二つの内容に触れる前に、相違点について書く。なぜなら、私は動機のとおり
“比較”を検討したいからだ。相違点は、様々な点でたくさんあるが、大きなものを
あげていきたいと思う。興奮して、おかしくなっている部分があるがご了承願いたい。
内容について取り上げているサイトはたくさんあるし、きっとそちらの人のほう
が冷静沈着に思考しているから、参考にされたし。
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虎眼が曖昧じゃない!!
これは、一番びっくりしたことである。 虎眼が曖昧じゃなかったら、
シグルイがシグルイでなくなると感じたからだ。それだけ、漫画の設定に欠か
せない項目である。虎眼が常人じゃないからこそ、この話は「武士道はシグルイなり」
で成立すると思うのだ。虎眼が狂人だからこそ、伊良子の両眼が切り裂かれるのでは
ないか??小説では、牛股の口を解剖しないし、鯉なんか生でボリボリ喰わないし、
小便だって垂れないし、涎小豆なんてもっての外の
齢50歳の健康にして精力絶倫のじいさんなのだ。
そして何より、娘想いのイイ親父なのだ・・・。(短編には
気が狂った馬は出てくるが、じいさんは出てこない。)
――ところで涎小豆(よだれあずき)という儀式の資料が読みたいのだが・・・。――
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ついでに三重も狂わない!!
三重の狂気、拒食症、虎眼と烈しいコント(うぇ)はホントに凄まじい
ものがあるが(特に5巻)、小説では三重も狂わない。ただ、伊良子に対して激しい
憎悪と愛情の葛藤はあったようだが・・・。短編で話自体が短いので、三重の記述も
いたって少ない。三重は伊良子の両目が裂かれた時 (小説の中では)、14歳ほどで、
虎眼が伊良子の復讐に倒れた時17歳、試合時は20を1つか2つ越したくらい
と書いてあるから、とても若いことが窺える。美貌の三重を追いかけて、
虎眼流道場に入った門下生も多くいたそうな。
正気の人、三重は、虎眼が倒された時、伊良子に飛びかかっている。
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牛股の口は裂けません!!
期待していた読者の方申し訳ありません。
虎眼先生が正常であるために、当小説では牛股は無個性のままその生涯
を終えます。悲しいかな牛股。もっと派手に散って欲しかった。スイカの汁
が裂けた口からじゅるじゅると垂れている様子がもっと知りたかった。
ああいう傷に完治はないのでしょうか!!3ヶ月位口を利かなければ、完全に
癒着すると思うのですが、道場で稽古する武士、気合の喝は欠かせないん
でしょうかねー。それとも、全く喋らなくても、欠伸したり、寝ているときに
いびきかいたりして、なかなか治らないのでしょうか。
そんな牛股が師範なのに三重との婚約者候補にならないのは、30代半ば
で妻帯しているから、だそうです。 ・・・怪物でも結婚できるんですね!!俺安心したわ!ニート辞めれば結婚できる(笑)――実はニートじゃないけどね(ぇ
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源之助、清玄の若い頃(幼少時代)のエピソードなんてない!!
源之助が百姓の子で、侍の子を殺したとか、清玄がおそ生まれで母親が娼婦だった
という話は記載されていないことから、漫画家の創作(作家と相談したかもしれないが)
とわかる。 漫画中でなぜ、清玄が貧民街の夜鷹であった母を殺したのか分からない。
(身分がばれないようにか・・・?)首を絞めて(ひねって?)殺すのがお好きなようである。
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舟木道場の双子兵馬数馬兄弟「ぬふぅ」は、“無明逆流れ”に出てこない!!
小説中に兄弟自体の存在はないが、宙空の兜を両断する「兜投げ仕法」が行われる話は、
4章のがま剣法にある。「兜投げ仕法」は「舟木家伝書」に詳述
されているらしい。斬り手の横から、投げられた兜を、眼前を横切る前に切り下げる
というものである。ともかく当然、「ぬふぅ」もない。がっくり
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門人は双竜の牛股と藤木と伊良子+その他大勢(1000人)
“ちゅぱっ”で一世を風靡した目玉大好き山崎九郎右衛門他、
ある意味無個性な虎子の間(当時は狭かった)に生息する門人は、
実は小説には出てきていない。というよりは1000把一絡げにされている
(小説が先なんだけどねw)。小説に出てきた門弟の名前を一応紹介すると
(殺された順に)、近藤涼之介、宗像新八郎、山崎九郎右衛門、丸子彦兵衛、興津三十郎である。
まぁ、このストーリーにあの奇怪な門弟なくしては、「まるで枯れ木である」(笑)
ついでに、「蕾見してみい」の不逞の輩数名も出てこない。
彼らは、土台涼之介を一番目に斬る“真打伊良子登場の前座”に過ぎない
わけであるから。可哀想なので紹介しておくが、鎌エ門のへし切長谷部、伝鬼の斬馬刀、
右近の飛苦内、左馬之助(分銅鎖)、神夢想林崎流免許皆伝の丹波蝙也斎である(最初に
涼に殺された浪人の名は結局分からない)。 まぁ藤木の拳闘を見せることで、
藤木の支持率が上がったのは大変良いことですが・・・。パロでは、
そのシーンの「ゴキグルイ」が面白い。「ワタシタチ、ゴキブリデッカ??」
当然、検校や夕雲、毒の爪生やした中毒中年も出てこない。勿論、二輪もないし、
牛股の悶絶もないw
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虎眼じいさんは見た!清玄といくのホームラン未遂を。
いくは“道具”じゃないと思ってた!wいくらなんでも、刀と一緒にするなよ、
しかも妖刀かよ!!?藤木と伊良子じゃ、道具を同じ拭くんでも“快楽”は雲泥の
差だぞ!!www全く漫画のキティじいは妄想癖があるのだ(俺にもあるがw)。
そりゃ、清玄といくの関係が事実だとしても、証拠なしに普通あそこまで断定して、
“赤い目隠し”咲かせちゃいます??
小説では、いくの震えから虎眼は察したようだが、
確証を取るまでは、つまり二人の実況中継を見るまでは咲かせなかったよ。
それが狂人と常人の違いだね。
因みに小説ではここで、二人が「旦那様(虎眼)を斬る、斬れない」の話を
しているから、恐ろしい。いくこそ首謀者じゃw
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女縛って乳首にご飯粒つけて4つに斬ったりしなーいぃ!!
小説はそんな卑猥なこと書いてなーーい!!SMプレイめいたもの、過剰なバラバラ
死体散乱現場状況には当小説は触れていないのでご安心ください。
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NO 妖刀 NO むーざん
妖刀は存在しないし、わらべ歌「むーざん」もありませぬ。いくはいわくなしの女です。
てか、漫画がいわくありすぎなのです。虎眼、三重、いく、清玄、九郎右衛門、
あげくは藤木(虎に腸を捕まれ、侍の子の頭を掴んで振り回す幼年時代w)まで、
彼らは人間としての線を超えちゃっています。自分的に参考になったことは、
ありえない話も時代設定や伝統文化に忠実そうに書けば、登場人物が全員キティ
でもリアルにも見えてくるってことですかね。 キティものとしては、江戸川乱歩
や嵐が丘なんかを好んで読んできたけど、あれでも一応まともな人間はいたよ。
シグルイって主要な登場人物は皆どこかいっちゃってる・・・。
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清玄の両目が斬られた場面において!!!
清玄が虎眼に両目を斬られる試合のシーンで、牛股と藤木の心境がはっきりと
書いてあり、漫画と異なると思われる。
牛股:「流れ星」の秘伝伝授の前提と予感した。(牛股はまだ秘伝伝授をされてない!?)
〜漫画中では、虎眼のしようとしていたことを何より彼が一番知っていたと思われる。つまり、虎眼の妾の心を奪った清玄に対するの復讐(?)のことを。師に盲従しすぎ。
藤木:三重どのの婿えらびと判断した。
〜漫画中では、この時点ですでに三重の婚約者が伊良子(若先生)と決まっていたから、それはない。藤木も何となく分かっていただろうし、拷問を行った他の門弟も、師の意思を知っていたに違いない。
牛股&藤木:虎眼が伊良子と勝負をつけるため真剣を用いようとした時に、驚いてそれを止めようとした。
〜漫画中では、この双竜、虎眼の傀儡に過ぎない。藤木は、三重を取られた恨みもあるだろうが、牛股は虎眼のただのしもべである。
伊良子:自分に向けられた師の憎悪の眼に、報復の企図を予感した。そして、虎眼の視線に威圧され、いくとの不倫にうしろめたい気持ちになっていたために牛股、藤木に敗れた。
〜漫画中では、伊良子は拷問をされ薬物を注入され夢か現実か分からない状態の時も、これから流れ星を伝授されると思っている。
まぁ、大分状況が違っているわけである。
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流れ星、違うよ?(平成教○委員会風)
対手の首を狙って、流星の走る如く横になぎ払う一刀必殺の魔剣―と書いてあるが、
刀身に手を添えるとは書いてない。手で押さえるのは、抵抗を多くして、斬りつける力が
その抵抗を越えて手から離れる時の速度を流れ星のように速め、誰よりも早く対手
に斬りつけるためである。
因みに南條氏の作品に“秘剣流れ星”(春陽堂)と
いうのもあり、これは参考になるだろうかと思ったが、活字が極端に小さく内容も
異なるようなので、読むのをためらっている。
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蚊を斬ったのは、興津ではなく清玄だぁぁ!!
盲目の清玄が蚊を斬るところに一層の凄みがあるのだ。
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この話の原点。真剣による御前試合を開催した徳川忠長はそんなに狂ってない!!
――泰平の時代に真剣をもって試合した例は少なくないが、大国の領主が公に開いた
御前試合において、十一番の勝負を悉く、真剣でせしめたという例は他にない。――とあり、
――多少精神に異常を来たしていたこと――に触れているが、漫画ほど舌を巻く狂気を
有してはいない。 真剣勝負は忠長の強制によるものではなく、敵討ちや喧嘩を
終焉させようと、対戦者同士が自ら真剣をもって行おうとしていたところに、
「それなら駿河城の御前で」という話になったというだけだ。
真剣試合を諸侯や大衆の面前で“見世物”にしたことは、忠長の常軌を逸していた点と
言えるが、小説を読んで、彼の残虐性もさほどでもないなと思った。
因みに1巻で「このようなものが御覧になりたいと仰せられるか?」と影腹して
自分の腸を抉り出した家中の者は勿論小説には登場しない。
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随時追加予定
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現時点での結論
現段階ではまだ調査が不十分で結論は出せない。 しかし、感想は「シグルイは “死狂い
”を凌駕している」と思った。
他にも気づいていない相違点は往々に存在すると思われる。
しかし、あまりにも細かいところはのぞいている。全て書いてしまうよりも、
これを読んだ人たちに興味が湧くように。随時、大きな発見箇所があれば更新して
いくつもりであるが、お気づきの点はメールされたし。また、良い資料(本など)
があればお教えください。詳細については、また今後調べてみたいと思う。
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今後の資料になりうるもの・キーワード
*寛永御前試合の講談
*徳川忠長(或は3代将軍関係)
*辻斬り
*夜鷹
*貧民街
*武士道・葉隠れ
*階級・身分
*道場・流派
*南条紀夫氏の他の小説
*漫画「駿河城御前試合上下」
以上、シグルイと原作の相違点
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最終更新07年3月9日
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