夢を人に託して

冒険譚の表紙に私の名前は刻まれて

埃を被った古びたこげ茶の分厚い本が

神父の息子の大きな机の上に置いてある

窓から庭を見える野アザミの群咲きは

艶やかに蝶々と彼に誘いかけ

彼は話どおりの展開を想像するのだろう

私はもうその近くにもその遠くにもいないだろうが

覚めやらぬ興奮と渦巻く驚嘆は

今なおあり、未来永劫続くと

そう思って眠ることが私の夢だった

2003年06月19日(木)投稿




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